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Keiichi HayashiK1884 Research Technology Space Industry Space Segment Satcom Pnt

Sateliot

3GPP標準準拠のLEO衛星で市販NB-IoT機器を宇宙から直接つなぐスペインのIoT衛星企業

Sateliot logo

公式サイト: sateliot.space

設立
2018年
スペイン・バルセロナ
従業員
約150名
2026年3月時点
累計調達
約1億ユーロ
2026年時点

基本情報

Sateliot は2018年設立、スペイン・バルセロナに本社を置くニュースペース企業である。3GPP標準(5G Non-Terrestrial Networks、NTN)に準拠した低軌道(LEO)衛星コンステレーションを運用し、市販のまま改造していないNB-IoT機器を宇宙から直接接続させることを事業の核とする。Seraphim Ecosystem Map 2026 上の分類は Space Segment > Satcom & PNT > IoT。宇宙専業で、通信(セルラーIoT)領域に特化している。

創業者兼CEOは Jaume Sanpera。欧州で初めて上場した衛星通信オペレーター Eurona を含む複数社を立ち上げた通信業界30年近いベテランである。共同創業者に技術ディレクター(CTO)の Marco Guadalupi、CIOの Albert Pujol Gurgui らがいる。従業員は約150名(2026年3月時点、スペイン政府投資後に人員を倍増したと会社発表)。主な事業地域は欧州を中心に世界60カ国。米国市場についてはFCCへの申請を行っている(出所: DCD 2024)。

顧客課題と製品

主な顧客は、地上のセルラー網が届かない場所でIoT機器を接続したい事業者と、それを最終顧客に届けるMNO(移動体通信事業者)である。地上網は地表の約20%しかカバーしておらず、農業(遠隔地の圃場)、物流・海運(コンテナ・車両追跡)、インフラ監視、国境監視、危機対応、環境・野生動物保全などで残り80%の圏外問題が顧客の具体的課題となる。

主力サービスは5G NB-IoT衛星コネクティビティである。分類上はハードウェア(自社LEO衛星群と地上局)を保有しつつ、顧客に提供する価値はコネクティビティ・サービスである。最大の特徴は3GPP標準準拠のため、専用端末や衛星用モデムを新たに買い替えず、既存の市販NB-IoTチップセットのままローミングで衛星につながる点。従来の衛星IoT(Iridium等の独自プロトコル)は専用モジュールと高額料金が必要だったが、Sateliot は地上5Gと衛星を単一のローミング契約で相互運用させることで、導入コストと端末コストを大幅に下げる。

導入前後の変化は、圏外地域でも標準IoT端末が「地上網の延長」として通信でき、端末単価・回線単価が下がること。乗り換え理由は標準準拠による低コストと相互運用性。ためらう理由は、コンステレーションがまだ数機規模で常時接続ではなく(現状は間欠的なパス通信)、リアルタイム全球カバレッジの実現が2028年前後の見込みである点。

ビジネスモデル

料金を最終的に支払うのはIoT機器の利用者だが、Sateliot 自身は最終ユーザーに直接請求せず、世界各地のMNO/MVNOとの卸(ホールセール)ローミングモデルで収益を得る。自社コンステレーションを各オペレーターの「カバレッジ拡張装置」と位置づけ、単一のローミング契約で各社網に組み込む。目標価格は最終ユーザー向けで1デバイスあたり月額約1米ドル(出所: RCR Wireless 2024)で、これはMNO経由で支払われる。

収益モデルは実質的に従量・継続課金(接続デバイス数に応じたローミング精算)であり、デバイスが増えるほど積み上がるストック型に近い。衛星製造・打ち上げという巨額の固定費が先行するが、いったんコンステレーションが稼働すれば追加デバイスの限界費用は小さく、規模拡大に伴い利益率が改善しやすい構造(推測)。会社は2030年に売上10億ユーロを掲げる(出所: RCR Wireless 2025)。ただし2025年に4機で商用収益が立ち始めた段階で、現時点の実売上は小さいとみられる(推測)。契約獲得から売上計上まではコンステレーション整備に依存し、リードタイムは長い。

市場と競争力

対象市場は衛星IoT/直接接続(direct-to-device)。IoT Analytics 等によれば衛星IoTは急成長分野で、3GPP NTN標準化が新規事業者の参入と低コスト化を後押ししている。主要競合は、GEO/マルチオービットでNB-IoTを提供する Skylo(米マウンテンビュー)、LEOでNB-IoTを狙う OQ Technology(ルクセンブルク)、既存の Iridium、さらに Starlink Direct-to-Cell や Amazon Kuiper など。従来の代替手段は独自プロトコルの衛星IoTと、そもそもの「圏外放置」である。

Sateliot の差別化は、3GPP標準に準拠したLEOコンステレーションを世界で最初に展開した点にあり、市販端末が無改造でつながる標準ローミング統合が競争優位の核。3GPPワーキンググループやGSMAに正会員として参画し、標準策定に関与していること自体が模倣されにくさと信頼性を生む。参入障壁は、周波数・軌道の許認可、標準化への深い関与、MNOとのローミング網構築、そしてコンステレーション整備に要する資本。切り替えコストは、いったんMNOがSateliotをローミング先に組み込むと相応に固定化する(推測)。今この市場が立ち上がる必然性は、3GPP Release 17以降でNTNが標準に組み込まれ、市販セルラー端末が衛星対応になったこと。宇宙で事業を行う必然性は、地上網が物理的に届かない80%を衛星でしか埋められない点にある。

実績と成長性

主要パートナーに Telefónica、Deutsche Telekom があり、Transatel とも提携。商用面では総額2億7,000万ユーロの事前契約(precontracts)を、60カ国・400社超の顧客と結んでいる(出所: Capacity 2026、社発表)。2024年8月の「Revolution」ミッションで4機を打ち上げ、5G NTNで実際に顧客サービスを提供する世界初級の実証を行った。累計6機が軌道上で稼働し、2025年に商用収益が立ち始めた。2026年にさらに5機、最終的に約100機規模を計画。Series C資金では16機を追加投入し、音声・映像・データを扱う5G New Radio技術の実証も狙う。

出資者・パートナーに Indra、Cellnex といった産業系企業、スペイン政府系のSETT・Sepides(SEPI)が名を連ね、政府・準政府の後ろ盾が厚い。財務詳細(売上・粗利・損益)は非公開。代替指標としては、従業員の倍増(約150名)、6機の軌道投入、5機の追加打ち上げ計画、400社超の顧客、2億7,000万ユーロの事前契約が成長の裏付けとなる。

資本政策と投資評価

累計調達額は設立以来約1億ユーロ(出所: Capacity 2026)。直近の確定ラウンドは2025年3月クローズのSeries B、総額7,000万ユーロ。内訳は Global Portfolio Investments 主導の出資10百万ユーロ、スペイン政府系SETT 13.8百万ユーロ、Hyperion Fund 10百万ユーロ、欧州投資銀行(EIB)による債務性資金30百万ユーロ、転換社債5.2百万ユーロ等(出所: RCR Wireless、Hyperion、EIB 2024-2025)。政府補助・政府系資金と借入を組み合わせている点が特徴。

2026年4月に総額1億ユーロのSeries Cを開始し、2026年夏のクローズを見込む。主体は株式で、追加の債務性を組み込む可能性があり、最大50%を公的マッチングファンドで共同出資する想定。リード投資家を選定中で、資金使途は16機の追加衛星と5G NR実証。推定バリュエーションは非公開。M&AまたはIPOの可能性は、CEOが過去に衛星通信企業を上場させた実績から中期的にありうる(推測)。売上マルチプルは実売上が小さく算定困難。コンステレーション完成前に次回調達が必要になる可能性は高く、Series Cのクローズ状況が当面の最重要指標となる。

総合評価

一言で表せば「セルラーIoTの衛星ローミング標準化を先行するスペインのLEOオペレーター」。顧客が選ぶ最大の理由は、専用端末なしで既存NB-IoT機器がそのまま圏外でつながる標準準拠の低コスト性。最も強い競争優位は3GPP/GSMA標準化への深い関与とMNOローミング網。最大の事業リスクは、約100機のコンステレーション整備に要する巨額資本と打ち上げ遅延、Series C以降の資金依存、そしてSkylo・OQ Technology・Starlink等との競争激化。今後3〜5年の成長ドライバーは、衛星機数の増加による常時カバレッジ実現、事前契約の実売上転換、追加MNO提携。競合と比べ「標準準拠・LEO・政府系資本」で独自の位置を占めるが、資金規模ではStarlink/Kuiperに劣後する。情報不足で判断できない点は、実際の売上・粗利・churn、事前契約2億7千万ユーロの確定契約への転換率、Series Cのバリュエーションと最終クローズ。

重要事項サマリー

項目内容情報源・時点
設立/本社2018年 / スペイン・バルセロナ公式サイト 2026
CEO・創業者Jaume Sanpera(Eurona創業者)Crunchbase/公式 2026
従業員約150名(人員倍増)社発表 2026年3月
事業3GPP準拠LEOによる5G NB-IoT衛星接続公式サイト 2026
収益モデルMNO/MVNO向け卸ローミング、月約1ドル/デバイスRCR Wireless 2024
衛星6機稼働、2026年に5機追加、約100機計画Capacity 2026
商用状況2025年に商用収益開始RCR Wireless 2024/2025
事前契約2億7,000万ユーロ / 60カ国400社超Capacity 2026
主要パートナーTelefónica、Deutsche Telekom、TransatelCapacity/Skylo 2026
累計調達約1億ユーロCapacity 2026
Series B7,000万ユーロ(2025年3月クローズ)RCR Wireless 2025
Series C1億ユーロ調達中(2026年夏クローズ見込み)Capacity 2026
主要投資家Indra, Cellnex, SETT, Sepides, Hyperion, GPI, Santander, EIBCapacity 2026
主要競合Skylo, OQ Technology, Iridium, Starlink D2CIoT Analytics 2025
売上目標2030年に10億ユーロRCR Wireless 2025
財務詳細非公開

情報源